ワンタッチで止められ、引っ張ると簡単に剥がせる。

まるで魔法のように便利な「面ファスナー」は、衣類・靴の接着パーツや、ケーブルを束ねるテープなど、さまざまな商品に用いられて、私たちの生活に広く浸透しています。

この面ファスナーは、ある植物の特徴的な構造にグッと近づいて、視点を変えてみることで誕生しました。スイスのジョルジュ・デ・メストラルという人が、アルプスの山奥へ狩猟に出かけた際に、自分の服や愛犬の毛にたくさんの野生ごぼうの実がくっついていることに気づきました。

なぜくっつくのだろう? と不思議に思った彼は、その実を持ち帰り顕微鏡で観察してみました。すると、実の表面が、無数の鉤( かぎ)が突き出たようになっていることが分かりました。

その鉤が衣服や犬の毛にしっかりと絡みついていたのです。この構造に着目した彼は、その数年後、ナイロン糸を使用した鉤(フック)と輪( ループ)で構成された面ファスナーを生み出しました。

ところで、日本で「マジックテープ※1」という名前で浸透している面ファスナーですが、アメリカでの呼称は「ベルクロ( Velcro )※2」が一般的です。どちらも登録商標であることはご存知でしたか?

※1「マジックテープ」はクラレファスニング社の登録商標
※2「ベルクロ( Velcro)」はベルクロUSA社(Velcro USA Inc.)の登録商標

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