CRA(Clinical Research Associate)は治験の円滑な進行をサポートし、データの信頼性を担保する役割を担っています。治験施設との契約から治験実施前の準備、被験者登録推進、そしてモニタリング。仕事の本質は変わりませんが、そのやり方は30年間で大きく変わりました。

CRA(治験開発モニター)のお仕事:草創期、そして現在
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Q. 30年間でCRA業務はどのように変化しましたか?

A. 草創期はまだCRA(Clinical Research Associate)という呼び名ではなく「モニター」と呼ばれていましたが、多くの医師や医療機関が『CRO(医薬品開発業務受託機関)』をご存じなく、治験にも慣れていなかったのが実情でした。1997年に新GCP省令が施行され、CROの法的根拠が明確になったことにより、CROのニーズが飛躍的に高まりました。当時と今を比べると、医療機関側がGCPや治験で実施すべき役割だけでなく、治験におけるCRAやCRC(治験コーディネーター)の役割への理解が深まったことで、治験が非常にやりやすい環境になったと言えるでしょう。

CRAの業務において何よりも大きく変化したのは、紙のCRF(症例報告書)回収から始まっていたプロセスが、今ではEDC(電子的臨床検査情報収集)となって電子的なデータ回収が進んだことです。かつてのCRA業務は週に何回も医療機関を訪問しなければならず、旅好きでないと務まらないと言われていました。現在では、コロナ禍で急速に進んだリモート面談の普及により、在宅とオフィスワーク、出張を組み合わせた多様な働き方に変化してきています。治験の変化を先取りして、シミックの治験モニタリングの業務は約30年の間に大きく進化してきました。国内最大規模1,100名のCRAを擁するシミックは、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)の導入や、harmo®を活用した併用薬過誤チェックの採用など、今後も治験を取り巻く環境変化を積極的にとらえ、治験モニタリングをリードしていきます。

※harmo®: 患者様自身で服薬情報を簡単・確実に一元管理でき、それを医療関係者が共有し活用する、電子お薬手帳を基盤とした医療情報連携システム(https://www.harmo.biz/)

Q. RBMとは何ですか?

A. リスクに基づくモニタリング(RBM:Risk Based Monitoring)とは、問題が発生してから対処するのではなく、いかに問題が発生しないように管理することに注力し治験の質を上げるという発想から、より効率的で効果的なモニタリング方法として考えられたものです。これまでは100%のデータ照合が必須であり、それにより問題を発見し、解決することがモニタリングの主な業務でした。試験の規模や参加国の多様化により、すべてのデータを検証する方法では時間とコストを要する割に、治験の質にかかわる問題の発生率を減らすことができないという問題点があり、改善が求められていました。

IT技術の進歩により、CRFのEDC化、すなわち紙媒体から電子媒体に移行したことから、事前にデータ確認することができる環境となったこともRBMの導入を後押しています。シミックではCMIC's RBM構築以降、モニタリング主導のRBM、データマネジメント主導のRBMなどあらゆるニーズにお応えし、多岐領域、各開発フェーズにわたる10試験以上の支援を行いました。既にCMIC’s RBMを導入したプロジェクトにおいて製造販売承認を取得した実績もあります。また、RBMをMachine Learningを用いて効率的に実施するソリューションを提供しているLokavant社と、2021年5月にパイロット契約を締結し、協業を開始しています。

Q. クライアントの変化はありますか?

A. 国内外のベンチャー企業など、開発のプロセスすべてにおいて、シミックにガイドを求めるクライアントが増加して います。こうした場合、日本の薬事規制を紹介するところから業務が始まります。収集データ(CRF)、CRFに対するクエリ―、提供資料やQ&A、会議等で、英語が必要となる国際共同治験なども増えています。さらに日本国内に拠点を持たない海外の企業がクライアントとなることも増えてきました。シミックではこうした海外の企業に代わって日本で医薬品を販売するために必要となる治験の依頼に関する各種手続きを行う治験国内管理人(ICCC)となって治験を進めています。このように、様々な変化に対応すべく、CRAはプロジェクトチームの一員となって業務を行っています。

※クエリー:CRFデータの不整合の発見によって、治験実施機関に対して発行する照会事項


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