2021年頃から、海外ブランドのホテルより、LGBTQ+のゲストやインバウンドゲストの受け入れについての従業員向けトークセッションにゲストスピーカーとして招かれる機会が増えました。今年6月のプライド月間(世界的なLGBTQ+の権利の啓発や認知向上を目指す月間)にも、W大阪(マリオット・インターナショナル)とANAインターコンチネンタル石垣リゾート(インターコンチネンタルホテルズ&リゾーツ)で登壇してきました。

トークの内容は主にホスピタリティ業界におけるセクシュアルオリエンテーションやジェンダー表現に関するセンシティビティについてでした。実際の参加者との質疑応答の一部を紹介します。

Q:「同性カップルかな?」と思う2人組のゲストのチェックイン手続きをする際に、ダブルかツインかを選んでもらうのですが、聞いてもよいのでしょうか?何か気をつけた方がよいことはありますか?

A:カップルまたは知人や家族同士で宿泊しているという事実は、セクシュアリティに関係ありません。「LGBTQ+なのか」を確認するのではなく、あくまで「ダブルなのかツインなのか」を選定するプロセスで必要な確認事項なので、特に気を使わずに確かめればよいと思います。例えば、カップルでもない男女に「お付き合いなさってるんですか?」などと質問するのは失礼ですよね。同様に、同性同士でもそのような質問は失礼です。LGBTQ+の人々をゲストとして迎える上で心掛けてほしいことは、その人たちのセクシュアリティを知らなくても問題があるかどうかです。おそらく全くないでしょう。他のゲストと変わりのない、1人のゲストとして接することが正解です。

Q:世間では「ジェンダーニュートラル」が求められていますが、ホテルではどのような場所がジェンダーニュートラルであるべきでしょうか?

A:トイレに関してはジェンダーニュートラルなトイレを作るというオプションがありますが、ホテルにはスパなど性別化されている場所がありますよね。例えば服を脱がなければならない場所が性別化されていることは理解できますが、行き過ぎた親切心による性別化が気になります。ビーチでのアスレチックやプールサイドの利用において、水泳ベストやバスローブを貸し出す場面がありますが、私がよく経験するのは、その際に「こちらが男性用のサイズです」と言われることです。確かに統計的には男性の体格の方が大きい場合が多いかもしれませんが、体格が大きめの女性もたくさんいます。トランスジェンダーの女性や、欧米の女性は一般的なアジア人女性の体格に比べて大きいことがあります。また、ジェンダー表現が男性的な女性も多く、「男性用」を渡された時に違和感を覚える可能性もあります。例えば「サイズ」などにおいて男女の区別は必要ないので、性別化する必要はないと思います。

みなさんの業界でもセンシティビティが必要な場面があるかもしれません。ぜひご参考にしてください。


Hiraku's Viewpoint

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