シミックファーマサイエンス株式会社では、2019年より国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:中釜斉、以下「国立がん研究センター」)と分子イメージング技術の医薬品開発での実用化とそのプラットフォーム構築を目標に、技術指導を受け共同研究に取り組んでいます。
近年の医薬品開発では、薬物投与後の標的臓器・細胞への送達を評価する為、その薬物の局在、未変化体及び代謝物のそれぞれの分布、薬物のターゲットとするバイオマーカーの組織内分布を可視化し評価する重要性が高まっています。国立がん研究センター研究所分子薬理研究分野の濱田哲暢分野長は、質量分析イメージング技術を医薬品研究開発における次世代の薬物動態・薬力学解析の評価として、その有用性及び応用性を検討し、世界で注目を集めておられます。特に、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析イメージング※技術は、組織切片上の目的とする物質を可視化する最新の技術で、創薬への応用が期待されています。
この度、国立がん研究センターで分子イメージングの共同研究に取り組む当社の社員の論文が、Drug Metabolism and Pharmacokinetics誌で公開されましたので、お知らせいたします。
本論文では、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析イメージング※技術を用いる際、生体組織内における薬物分布を評価する分析プロセス標準化、及び、分析法構築時の指標の一つとして薬物とのタンパク結合率を提唱しています。これらは、今後の本分野におきまして、根幹となる重要な知見を発表するものです。
※マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析イメージング
生体組織切片の表面にレーザーを一定の間隔で照射して、質量分析を行います。目的とする物質のイオンのシグナル強度について、二次元画像化を行うことにより、物質の分布を可視化できます。
著者 | Yoshiharu Hayashi, Mayu Ohuchi, Shoraku Ryu, Shigehiro Yagishita, Akinobu Hamada |
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表題 | A procedure for method development and protein binding ratio as the indicator of sensitivity with anticancer agents on MALDI mass spectrometry imaging |
雑誌 | Drug Metabolism and Pharmacokinetics Volume 38, June 2021, 100385 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1347436721000069 https://doi.org/10.1016/j.dmpk.2021.100385 |
その他技術情報
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