シミックグループの企業カルチャー「W&3C 」の4つのワードからテーマをひとつ選んでいただき、そのテーマについてお話しいただくコーナーです。今回は、Little Glee Monster、AKB48、西野カナなど多くのアーティストへの楽曲提供やプロデュースを行うかたわら、このほどAkira Sunsetさんと共同でワクチン接種の消防団応援ソングを手がけたCarlos K.さんに「Change:人生の転換期」についてお話いただきました。


みなさんは人生がガラッと変わってしまうような体験をされたことはありますか?

僕の場合は、20 歳のときにブラジルに渡り、マテ茶工場で働きながら工場の仲間たちと一緒に音楽を作ったことで、それまでの人生観や音楽観が一変しました。

僕はブラジルで生まれ、6歳までブラジルで育ちました。その後日本に戻り、高校までは山梨県北杜市の小淵沢で過ごしました。父が音楽好きだったので、家の中にはピアノやドラムなどさまざまな楽器が溢れ、物心がつく前から常に音楽に触れていました。漠然と音楽を仕事にしたいとは思っていたものの、就職を考えるタイミングで「自分はいったい何者なのだろう」という疑問が湧いてきました。自分はブラジル生まれなのに故郷であるブラジルのことを何も知らない。このまま日本で就職してしまっていいのか。そう思った僕は、思い切ってブラジルに渡りました。いわゆる「自分探しの旅」ですね。(笑)

ブラジルのいろいろな場所を放浪した後、最終的に父の働いていたマテ茶工場にお世話になることになりました。そこで出会ったのは、決して恵まれているとは言えない環境の中、プロを目指して一生懸命音楽をやっている人たちでした。彼らと一緒に住み込みで働き、仕事が終わるとボロボロのスタジオに行って、一緒に楽器を弾いて曲を作りました。そうした毎日を送るうちに、自分はこれまで恵まれた環境にいながら、何も挑戦してこなかったということに気づきました。「音楽でプロになる」という漠然とした夢が目標に変わった瞬間でした。

帰国後、レコード会社にデモテープを送り始めました。幸いなことに、すぐに目に留めていただき作曲家デビューが叶いました。目に留めていただいた理由はわかりませんが、小淵沢やブラジルで自然に囲まれ過ごした経験や、ブラジルで聴き手のことを考えながら曲を作る経験をしたことも大きかったのかもしれません。

ブラジルではみんな「こういう曲を作れば勇気づけられる」、「これは誰々のための曲」などと言いながら、誰かのことを思って曲を作っていました。それまでの僕は、自分の気持ち良さや格好良さばかり考えて曲を作ることが多かったのですが、人のために作ることの大事さに気づいたときから、みなさんが僕の曲を聞いてくださるようになったと感じています。

今は、聞きたい曲を手元にあるツールで選んで聴ける時代になり、音楽はますます身近になっています。だからこそ、より具体的な誰かのために曲を作っていくことが重要なのではないでしょうか。音楽で聴き手を勇気づけることは、やがてたくさんの人の勇気を呼ぶ正の連鎖につながるのではと期待しています。

今回、Akira Sunsetさんと一緒に作ったコロナワクチン接種の消防団応援ソング「それ行け!日本の消防団」も、そうした想いを込めました。世界的な広がりをみせている新型コロナウイルスに対して僕も何かできることはないかと考えていたときに、地域の消防団を中心にワクチン接種を進めるという取り組みがあることを知り、消防団の方々を応援する曲を作ることになりました。

消防団の皆さんの勇気が地域の人を勇気づける、その助けになってほしいと思っています。今後もこういった「相手のために」ということを心がけ曲作りを続けていきます。

消防団応援ソング「それ行け!日本の消防団」




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