最新の技術と消費者をつなぐために ー予測困難な時代、変化を柔軟に楽しむ̶
特別対談 小嶋 智彰 × 中村 和男
シミックグループの企業カルチャー「W&3C」の4つのワードからテーマをひとつ選んでいただき、そのテーマについてお話しいただくコーナーです。
今回は、乃木坂46をはじめとするさまざまなアーティストへの楽曲提供を行うかたわら、消防団応援ソング「それいけ!日本の消防団」プロジェクトを手がけ、自ら歌手としても参加されたAkira Sunsetさんに「Communication 」についてお話しいただきました。
物心ついたときから歌が好きで、子どものころから「この先、音楽の世界で食べていくんだろうな」と漠然 と思っていました。中学生の時にギターを買ってもらてからは弾き語りを始めて、ライブもするようになりました。俳優やタレントを志望していた時期もありました。オーディションを受けても、いいところまでは進むのですが、最後は落ちてしまう。そこで特技の歌を披露するようにしたところ受かるようになってきて、やはり自分の武器は歌だと実感しました。
2007 年にハワイでSafarii というグループでデビューし、その逆輸入という形で翌年にSony Music Recordsから日本でメジャーデビューできました。しかし、あまりヒットが続かず、32 歳で契約が切れ、逆にこれが人生の転機となりました。音楽を辞めることも考えましたが、他にやりたい仕事もなく迷っていて。そんなとき、「乃木坂46 というグループがデビューするから曲を書かないか」と声をかけていただき、2 曲採用されました。それで当面、経済的に安心と思いきや、蓋を開けたら期待していたより少ない金額で(笑)。これはひたすら曲を書くしか道はないと、スイッチが入りました。
大きな案件の作詞作曲はほぼコンペです。それまでの経験から、コンペでは仕掛けを作って戦略的に挑みました。たとえば乃木坂46 の場合は、「清楚なグループ」という概要が提示されたので、清楚な曲はたくさん集まると考え、あえてロックな曲を書いたり。そんなふうに需要を読んで戦略的に仕掛けていくことで、 だんだん採用される確率が上がっていきました。
しかし、戦略だけで勝ってきたという自覚があったので、売れ始めた頃にはすでに「このままではいけない」 と危機感がありました。それが、共作を始めたきっかけです。僕は作詞作曲が得意なので、編曲が得意な人と組むようにしました。コンペではとにかくたくさんの曲を書かなくてはいけないので、採用されるための仕掛けも入れるとなると、クオリティを担保する面からも共作は有利だと思います。
大きな案件をコンスタントに取れるようになって改めて感じたのは、身近な人とのコミュニケーションの重要性でした。大きな仕事に取り組む時など、新しく出会った方との関係に気を取られがちになりますが、状況が変わっても、大切な人は変わりません。身近にいる大切な人たちに喜んでもらうことが、ひいては仕事での円滑なコミュニケーションやパフォーマンスの向上にもつながってくると思います。
特にコロナ禍では、直接顔を合わせることが難しくなり、仲間たちとギクシャクする場面も出てきて、改めてコミュニケーションの重要性を痛感しました。このような状況なのに音楽で何ができるのだろうと自問することもしばしばありました。こうした時、消防団のための歌を作ろうと誘っていただき、自分の曲が誰かのためになると思うと、とても嬉しかったです。
曲作りのために消防団の活動について調べていくと、消火だけでなく幅広く活動されていることを知り、とても感動しました。人のために行動できるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。
「それ行け!日本の消防団」は久しぶりに自分で歌わせていただいたという点でも、思い入れの強い曲です。緊張しながら一歩ずつ成長する感覚を久々に思い出すことができました。しかしこの曲は、僕一人が歌うためのものではなく、あくまで消防団の人たちのための歌です。コロナ禍が収まり、消防団の皆さんが集まれるようになったら、飲み会の最後に歌って盛り上がっていただく、そんな「持ち歌」にしていただけるととても嬉しいです